こんにちは!向上 条 です。
再発防止策を書くとき、こんなふうに悩んでいませんか?
- 「気をつけます」だけでいいのだろうか
- 良い案が思いつかないから、とりあえずダブルチェックを増やしておこうかな
- 形にはしたけれど、正直これでいいのか不安
私も以前、再発防止策の承認をもらうために上司へ提出したとき、こう言われました。
「再発防止策というのは、冷や汗をかきながら真剣に考えるものだ。お客さんから舐めていると思われるぞ」
正直、頭にきました。
真剣に考えたつもりだったからです。
でも後になって、私自身が再発防止策を“提出される側”になったときに気づきました。
欠けていたのは、相手からどう見えるかという視点です。
この記事では、実際に顧客クレームにつながりかねなかった加工ミスの事例をもとに、
- ダメな再発防止策の特徴
- 納得を得られる再発防止策の考え方
- そのまま使える具体的な書き方
をわかりやすく解説します。
「誰かが悪い」で終わらせない再発防止策の書き方を、一緒に整理していきましょう📝
尚、再発防止策の基本的な「考え方」や「進め方」については、以前の記事で詳しく解説しています。
👉️ 📦 再発防止策の立て方|「確認します」で終わらせない!現場で効く対策ステップとコツ
再発防止策の書き方|まず押さえるべき基本構造

再発防止策は、思いつきで書くものではありません。
まずは「基本構造(型)」を押さえることが重要です。
最低限、以下の4つを整理できていれば、内容は大きくブレません。
① 原因を具体化する
「確認不足」「注意不足」といった抽象的な表現では不十分です。
❌ 悪い例
・作業者の確認不足
⭕ 良い例
・加工方向の指示が図面とプログラムで視覚的に区別されていなかった
・取り付け時に逆方向でも物理的に固定できる構造だった
ポイントは、
“誰が悪いか”ではなく、“なぜその状況が発生したか”を書くことです。
② そのミスは許容できるかを判断する
ここが意外と抜けがちな部分です。
すべてのミスをゼロにすることは現実的ではありません。
しかし、以下に該当するものは「許容できない」領域です。
- 安全に関わる
- 顧客クレームにつながる
- 大きな生産ロスになる
- 金額的損失が大きい
今回の事例のように、
- 顧客クレーム案件になり得る
- 再作が必要になる
場合は、単なる注意喚起では不十分です。
③ 人に依存しない対策を考える
再発防止策が弱くなる最大の原因は、
「人に頑張ってもらう対策」になっていることです。
- 再確認を徹底します
- ダブルチェックを実施します
- 手順書を再教育します
これらは悪いわけではありません。
しかし、本質的な構造が変わらなければ、再発の確率は大きく下がりません。
理想は、
“間違えられない状態”をつくること
です。
④ 効果の確認方法まで書く
再発防止策で抜けがちなのが、「その後どう確認するのか」という視点です。
お客さんや上司が本当に知りたいのは、
「次にまた同じことが起きないかどうか」
という点です。
ここで一つ整理しておきます。
・対策=打った手
・再発防止策=同じことが起きない状態づくり

再確認や注意喚起は“対策”です。
構造を変え、定着確認まで示して初めて“再発防止策”になります。
例えば、
✖️ 治具を作成する
⭕ 治具を作成し、全担当者へ教育を実施。運用状況を○週間確認する
ここまで書いてこそ、「次に起きない」と説明できます。
ここまでが基本の型です。
まずはこの4点を押さえるだけで、
「とりあえず提出した文章」から
「構造を変える宣言」へと変わります。
なお、再発防止策の「考え方」や「進め方の全体像」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉️ 📦 再発防止策の立て方|「確認します」で終わらせない!現場で効く対策ステップとコツ
ダメな再発防止策の典型例

再発防止策が弱くなりやすいパターンには、共通点があります。
①「気をつけます」で終わる
❌ 今後は取り付け方向に注意します
これは“宣言”であって、“仕組み”ではありません。
注意は個人の意識に依存し、波があります。
時間が経てば緊張感は薄れ、
忙しさや思い込みによって、同じミスが起きる可能性は残ります。
② ダブルチェックを増やす
❌ 取り付け時にダブルチェックを実施します
ダブルチェック自体が悪いわけではありません。
しかし、「とりあえず追加する」だけでは再発防止策としては弱いままです。
・誰がチェックするのか
・何を基準にチェックするのか
・チェックは記録に残るのか
・忙しい状況でも機能するのか
ここまで整理されていなければ、
ダブルチェックは形骸化しやすくなります。
作業が増えるだけで、仕組みは変わっていないからです。
再発防止策として書くのであれば、
チェックが機能し続ける仕組みになっているか
まで示す必要があります。
③ 原因が曖昧なまま
❌ 原因:確認不足
これでは再発防止策はほぼ「確認を徹底します」しか選べません。
「確認不足」という言葉は便利ですが、
実際には「何」が不足していたのかが分かりません。
・指示が分かりづらかったのか
・表示が紛らわしかったのか
・構造上、逆方向でも取り付けられたのか
・役割分担が曖昧だったのか
原因が抽象的なままだと、
対策も抽象的になります。
再発防止策を書く前に必要なのは、
“人の問題”にせず、“構造の問題”に分解することです。
そこまで具体化して初めて、
構造を変える対策が見えてきます。
具体化の代表的なツール「なぜなぜ分析」の基本については、
こちらの記事で詳しく解説しています👇️
👉 📦 なぜなぜ分析のやり方|初心者でも迷子にならないステップ・事例・よくある失敗例
納得を得られる再発防止策の考え方
再発防止策を書くうえで意識するべき点は、「うまく書くこと」ではありません。
大切なのは、
その対策で本当に再発しないと説明できるかどうか
という視点です。
人はミスをするという前提で考える
どれだけ手順書を整備しても、
どれだけ教育をしても、人は必ずミスをします。
疲労、思い込み、慣れ、焦り。
完全にゼロにはできません。
だからこそ、
「誰が悪いか」ではなく
「なぜそのミスが起き得る仕組みだったのか」
を考える必要があります。
許容するのか、低確率化するのか
すべてを完璧に防ぐことは現実的ではありません。
しかし、次のようなケースはどうでしょうか。
・安全に関わる
・顧客クレームにつながる
・大きな生産ロスになる
・金額的な損失が大きい
この領域は、簡単に「注意します」では済ませられません。
製造業でよく言われる
安全第一、品質第二、生産第三
この順番は、再発防止策を考えるときの判断軸にもなります。
影響が大きいほど、
人に依存しない“構造的な対策”が求められます。
顧客視点で考える
再発防止策を提出する側のときは、
つい「どう書けば通るか」を考えてしまいがちです。
しかし、受け取る側や顧客が知りたいのは、
次に同じことが起きないかどうか
この一点です。
対策の量ではなく、
再発確率がどれだけ下がるのか。
そこを説明できる内容になっているかどうかが、
納得を得られるかどうかの分かれ目です。
実例:加工方向ミスの改善事例

実際の現場ではどのように再発防止策を考えるのでしょうか。
私が経験した事例を紹介します。
加工方向を間違えたミス
ある製品で、決まった片側にだけ穴を開ける加工がありました。
ところが、反対側に穴を開けてしまうミスが発生しました。
加工プログラムを作成する担当者と、
ワークを取り付けて加工を開始する担当者が別だったため、
取り付けの段階で逆方向にセットされ、そのまま加工されてしまったのです。
このミスは、
- 顧客クレームにつながる可能性
- 再作による生産ロス
どちらにも影響する内容でした。
作業者だけの問題ではない
もちろん、取り付け手順書はありました。
そのため表面上は「作業者の確認不足」と言えます。
しかし、そこで作業者個人の問題として終わらせても、
同じ状況があれば再び起こる可能性があります。
重要なのは、
そのミスが起きても不思議ではない構造だったのではないか
という視点です。
構造を変える対策
チームで検討した結果、
逆方向に取り付けられない治具を作成することにしました。
この治具を使うことで、
・正しい方向でしか固定できない
・逆方向では加工が始められない
という状態になります。
つまり、
「間違えられない構造」に変えたわけです。
治具自体はそれほど複雑なものではありませんが、
新しい治具を使う以上、作業者への教育は必要になります。
まず対象となる作業者へ個別に使用方法を教育し、
そのうえで朝礼でも今回の事例と対策を共有しました。
単に「新しい治具を使ってください」と伝えるだけではなく、
このミスがどのように起きたのかも合わせて説明することで、
対策の意図を理解してもらうようにしました。
そのうえで運用を開始し、
現在まで同様のミスは発生していません。
そのまま使える再発防止策の書き方(例文付き)
ここまで再発防止策の考え方を整理してきました。
最後に、実際の書き方を例文でまとめます。
よくある不安が残る再発防止策
❌ 原因:作業者の確認不足
再発防止策:
取り付け方向を再確認し、ダブルチェックを徹底する。
一見それらしく見えますが、
- 何をどう確認するのか
- なぜミスが起きたのか
- どうすれば起きなくなるのか
が曖昧なままです。
この書き方では、
「また同じことが起きるのでは?」
という不安を解消できません。
納得を得られる再発防止策(改善例)
⭕
原因:
ワークが逆方向でも取り付け可能な構造であり、
取り付け時に誤方向で固定しても加工が開始できる状態だった。
再発防止策:
逆方向では取り付けできない治具を作成し、
構造上誤加工が発生しない状態へ変更する。
実施内容:
対象作業者へ治具の使用方法を個別教育し、
朝礼でも事例と対策を共有する。
確認方法:
治具の運用状況を一定期間確認し、
誤方向加工が発生しないことを確認する。
このように、
- 原因
- 構造対策
- 教育
- 確認方法
まで書くことで、
「次は起きない」と説明できる再発防止策になります。
再発防止策のテンプレート
迷ったときは、次の形に整理すると書きやすくなります。
原因
(なぜそのミスが起きたのか。構造まで分解する)
再発防止策
(構造をどう変えるのか)
実施内容
(教育・手順変更・設備変更など)
確認方法
(運用が定着しているかをどう確認するか)
再発防止策は「文章のうまさ」ではなく、
構造をどう変えるかを説明するものです。
人を責めるのではなく、
同じミスが起きにくい仕組みを作る。
その視点で整理すれば、
納得される再発防止策は必ず書けるようになります。
品質管理では、「原因を分析する」「再発防止策を考える」という流れがとても重要です。
品質管理の基本的な考え方については、こちらの記事でも詳しく解説しています👇️
👉 📦 品質管理とは?QC検定3級にも役立つ!初心者がつまずきやすい落とし穴と改善の考え方
🧭 合わせて読みたい記事
再発防止策の書き方のまとめ
再発防止策を書くときは、つい
- 「気をつけます」
- 「ダブルチェックを徹底します」
といった内容になりがちです。
しかし、それでは同じミスが起きる可能性は残ります。
大切なのは、人に依存した対策ではなく、ミスが起きない構造に変えることです。
再発防止策を書くときは、次の4つを意識して整理すると書きやすくなります。
- 原因を具体化する
- 許容できるミスか判断する
- 構造的な対策を考える
- 効果の確認方法まで示す
再発防止策は、
「誰が悪かったのか」を書くものではありません。
同じミスが起きない状態をどう作るか
を説明するものです。
再発防止策を書くときは、この記事で紹介した
「原因の具体化」「構造対策」「効果確認」
の流れを意識すると、納得される再発防止策を書けるようになります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、
構造の視点で整理していけば、必ず書けるようになります。
この記事が、再発防止策を書くときの整理に少しでも役立てば嬉しいです📝





コメント