📦なぜルールは定着しないのか|意識ではなく「やらなくても仕事が進む仕組み」の話

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こんにちは!向上 条 です。

「なかなかルールが定着しないんだよね」🤔

改善活動や再発防止策の話をしていると、
こんな言葉を耳にすることがあります。

ルールを決めて、手順も共有したのに
それでも、いつの間にか守られなくなっている。

だから、
「もっと意識づけが必要なのか」
「チェックが足りないのか」
という話になりやすい。

ただ、ここで一度、立ち止まって考えてみてほしいのです。

本当に問題なのは、
意識や注意が足りないことなのでしょうか。

現場をよく見ると、
誰も声をかけていないのに、
毎回同じ行動が自然と行われている場面もあります👀

守っている、という感覚すらなく、
それが当たり前の動きとして回っている状態です。

この記事では、
「定着しない理由」を探すのではなく、
定着している状態とは何かを改めて整理します✍️

定着を、頑張って守り続けることではなく、
考えなくても同じ行動になる状態として捉え直してみましょう。


「定着している」とは、守っている感覚がない状態

定着しているかどうかを考えるとき、
「守れているか」「守らせているか」という視点から入ると、
どうしても話は人の努力や意識の方向に寄っていってしまいます。

ただ、現場をよく見ていると、
定着している状態には、ある共通点があります🎯

それは、
守っている、という感覚がほとんどないという点です。


誰も注意していないのに、同じ行動が続いている

定着している現場では、
誰かが声をかけたり、チェックしたりしなくても、
同じ行動が自然と繰り返されています。

  • 「やったかどうか」を確認されない
  • 守っていることを意識していない
  • それでも、結果として同じ動きになっている

この状態では、
「守る・守らない」を判断する場面そのものが、
ほとんど発生していません。


「守る」ではなく「そう動く」になっている

定着している状態を言い換えると、
それはルールを守っているというより、
そう動くのが普通になっている
という状態です。

そこでは、

  • 気をつけよう
  • 忘れないようにしよう

といった意識づけは、ほとんど必要ありません。

判断が入らず、考えなくても体が動く。

この「判断がいらない」という点が、
定着を考えるうえで、とても重要なポイントになります✅


定着は「頑張り続けた結果」ではない

ここで誤解しやすいのが、
定着している状態を
「頑張って守り続けた結果」
だと捉えてしまうことです。

もちろん、
最初は意識する場面もあります。

ただ、定着している現場では、
その状態を維持するために頑張り続ける必要がありません。

頑張らなくても続く。
考えなくても同じ行動になる。

それが、
この記事で扱っている「定着している状態」です。

業務ルールの定着状態を比較した図。左は定着していない状態で、毎回判断が必要、忙しいと省略され、注意がないと元に戻る様子。右は定着している状態で、判断が不要で自然と同じ行動になり、仕事の前提条件になっていることを示している。
定着していない状態では判断が残り、定着している状態では判断そのものが消えている

この考え方を、再発防止策としてどう設計するかは、こちらの記事で具体的に整理しています👇️
👉️ 📦 再発防止策の立て方|「確認します」で終わらせない!現場で効く対策ステップとコツ


定着していない現場では、何が起きているのか

定着している状態を見たあとに、
あらためて「定着していない現場」を振り返ると、
そこではいくつか共通した“状態”が見えてきます。

ここでは、
定着していない現場では、
実際に何が起きているかを整理してみましょう。


毎回「やるかどうか」を考える場面が残っている

定着していない現場では、
ルールや手順があるにもかかわらず、

  • 今回はやるか
  • 忙しいから省くか
  • あとで対応するか

といった判断が、
毎回どこかで発生しています。

やる・やらないを考える余地が残っている限り、
行動は状況に引っ張られやすくなります。


忙しさによって、行動の優先順位が入れ替わる

定着していない状態では、
仕事が立て込んだときに、

  • 本来やるはずのことが後回しになる
  • 省略しても、その場は何とか進んでしまう

といった場面が起きやすくなります。

ここで重要なのは、
ルールを破ろうとしているわけではない、
という点です。

忙しさの中で、
仕事として優先されにくい扱いになっている

ことが多いのです。


注意や確認が入らないと、元に戻らない

定着していない現場では、

  • 誰かが声をかける
  • チェックが入る

ことで、いったんはあるべき状態に戻ります。

ただ、その状態は長く続かず、
時間が経つと、また元に戻ってしまう。

これは、
注意や確認が悪いからではなく、
それがないと成立しない環境にルールや手順が置かれている
という状態を示しています。


「できている人」がカバーする構造になっている

もう一つよく見られるのが、
できている人が、
無意識のうちに周囲をカバーしている状態です。

  • 気づいた人が補う
  • 分かっている人が対応する

その結果、
大きな問題は表に出にくくなります。

ただその裏で、ルールや手順は
個人の頑張りに支えられたものとして
残り続けることになります。

「人が悪い」で終わらせない原因の見方については、なぜなぜ分析の考え方とも共通しています👇️
👉️ 📦なぜなぜ分析のやり方|製造業の事例と初心者が失敗しないコツ


定着化できるかどうかを分ける3つのポイント

ここまで、
定着している状態と、していない状態の違いを見てきました。

では次に、
どこを見れば、定着に近づいているかどうかが分かるのか。

判断のためのポイントを3つ整理します。


① 判断が発生する余地が残っていないか

まず見るべきなのは、
そのルールや手順に
「考える余地」が残っていないかという点です。

  • 今回はやるか
  • 忙しいから省くか
  • 状況を見て判断するか

こうした判断が、
毎回どこかで必要になっている場合、
安定して運用されにくくなります。

定着している状態では、
やる・やらないを考える前に、
自然とその動きになっていることがほとんどです。


② やらなくても仕事が進んでしまわないか

次に確認したいのは、
そのルールや手順を省略しても、
仕事として成立してしまわないかという点です。

  • 飛ばしても次に進める
  • 後工程で何とかなる
  • 誰かが後で気づいて対応している

こうした構造があると、
ルールや手順は
「余裕があるときにやるもの」
として扱われやすくなります。

内容の正しさとは別に、
仕事の流れの中でどう扱われているかを見ることが重要です。


③ 守ることが、個人の努力に委ねられていないか

もう一つのポイントは、
そのルールや手順が、
個人の意識や頑張りに支えられていないか
という点です。

  • 気づいた人が声をかける
  • 分かっている人が補う
  • できている人が支える

こうした状態では、
一見うまく回っているように見えても、
定着はとても不安定になります。

定着している状態では、
誰かが頑張らなくても、
同じ行動になる前提が仕事の中に組み込まれています。


ここで挙げた3つは、
「こうすれば定着する」という方法ではありません。

ただ、
定着しているかどうかを見分ける視点としては、
とても強いヒントになります。

次の章では、
これらの視点を使って、
実際の現場で何をどう変えるのか
実体験ベースの具体例を見ていきます✍️


具体例:機械加工のプログラム作成で、定着が起きたケース

ここでは、
機械加工の現場で実際にあった
プログラム作成時の確認ルールを例にします。

ポイントは、
新しいルールを増やしたことではなく、
次の工程とのつながり方を変えたことでした。


変更前:確認ルールはあるが、作業は進んでしまっていた

その現場では、プログラム作成時に

  • 原点設定
  • 工具・干渉の確認
  • 加工条件のチェック

を行う、というルールがあり手順書にも明記されていました。

ただ、実際の作業の流れでは、

  • プログラムを作成する
  • 確認が終わったかどうかに関係なく
    次工程(段取り・加工)に渡せてしまう

という状態になっていました。

結果として、

  • 忙しいと確認が後回しになる
  • 経験者ほど自己判断で進めてしまう
  • ミスが起きたときだけ問題になる

という状況が繰り返されていました。


よくある対応:注意や教育をしても、安定しなかった

当然、

  • 「確認を必ずやるように」と注意する
  • 朝礼や教育で再周知する

といった対応は行われました。

正直に言うと、
注意している自分自身も、
「また同じことを言っているな」
と感じていました。

守られないことに腹が立つというより、
言っても戻ってしまう状況に、
どこか空しさのようなものがありました💭

注意した直後は守られます。
ただ、時間が経つと元に戻る。

確認しなくても次の工程が回ってしまう
という作業の流れ自体は、変わっていなかったからです。


実際に変えたのは「次工程の受け取り条件」だった

そこで見直したのは、
確認内容そのものではありません。

変えたのは、
「次の工程が、プログラムを受け取る条件」
です。

具体的には、

  • プログラム確認後にチェックを入れる
  • ただし、
    チェックが入っていないプログラムは
    次工程(段取り・加工担当)が受け取らない

という運用に変更しました。

製造業の業務フロー図。変更前はプログラム作成から確認なしで次工程に進める構造。変更後は確認工程を挟み、確認がないと次工程に進めない流れを示している。
確認が「守るルール」ではなく、「次に進む条件」になったことで、行動が自然と揃った

ここで重要なのは、

  • チェックを増やしたこと
    ではなく
  • チェックがないと、仕事が前に進まない
    という状態を作ったことです。

変更後:誰も注意しなくても、確認が当たり前になった

この変更以降、

  • 「確認した?」と声をかける場面が減った
  • 忙しくても、確認が省略されにくくなった
  • 確認が、プログラム作成の一部として扱われるようになった

という変化が起きました。

確認は、

  • 守るべきルール
    ではなく
  • 次の工程に渡すための前提条件

になったのです。

結果として、特別な意識づけをしなくても、
確認作業は安定して続くようになりました。


このケースが示していること

この事例が示しているのは、定着しなかった原因は、
意識や姿勢ではなく、
「確認」と「次の工程」の関係にあったという点です。

確認を、

  • やったほうがいい作業
    から
  • やらないと次に進めない工程

に変えただけで、
行動は自然と揃っていきました。


定着化とは「意識を高め続けること」ではない

ここまで見てきたように、
ルールや手順が定着しない原因は、
意識や姿勢だけの問題ではありません❎️

今回のプログラムの例でも、
ルール自体は最初から存在していました。
それでも定着しなかったのは、
確認が「やらなくても次に進める状態」に
置かれていたからです。


定着していなかったのは「人」ではなく「条件」

確認が終わっていなくても、

  • 次の工程に渡せてしまう
  • 作業が進んでしまう

この状態では、
どれだけ「必ずやろう」と言っても、行動は安定しません。

逆に、

  • 確認が終わっていないと次の工程が受け取らない

という条件に変えただけで、
誰も注意しなくても、
確認は当たり前の作業になりました💡

定着していなかったのは人ではなく、
仕事が成立する条件だった、
というわけです。


「守らせる」から「そうしないと進まない」へ

定着化を考えるとき、
つい、

  • どう守らせるか
  • どう意識づけるか

という発想になりがちです。

ただ、今回のケースが示しているのは、
その一段手前を見ることの重要性です。

  • その作業をしないと、仕事は止まるか
  • それとも、何となく先に進めてしまうか

この違いが、
定着するかどうかを大きく分けます🎯


定着化を見るときのシンプルな問い

もし今、
「なかなか定着しない」と感じているルールや手順があるなら、
一度だけ、次の問いを考えてみてください👀

「これをやらなくても、
仕事は成立してしまっていないだろうか?」

もし「成立してしまう」と感じたなら、
問題は人の意識ではなく、
仕事の流れや条件の置き方にある可能性が高いです。

定着させようとするときは、
守らせ方を考える前に、
その作業が「やらないと先に進めない状態か」を
一度、疑ってみてください。

それが、定着を
人の努力ではなく、仕組みとして捉え直す
最初の視点になります。

条件を仕事の前提に組み込む方法として、「見える化」も有効です。
見える化については

👉️ ⚙️「見える化」とは?現場の情報共有がラクになる実例と定着のコツ

で詳しく解説しています。


最後に

定着化というと、
つい「意識を高める」「守らせる」という話になりがちです。

しかし今回見てきたように、
ルールや手順が定着しない原因は、
人の姿勢や努力ではなく、
それをやらなくても仕事が進んでしまう条件にあることが少なくありません。

定着させようとするときは、
まず人を見る前に、その作業が
「やらないと仕事が先に進まない状態になっているか」
を考えてみてください。

その答えを考えることが、定着化を人の問題にせず、
仕組みとして見直すための、最初の一歩になるはずです🙂

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